読書ブログ_20221017
「国のない男」(カート・ヴォネガット,中央公論新社,2017)
エッセイ集
ユーモアについて
「ユーモアは、人生がいかにひどいものになりうるかということを忘れさせ、人を守ってくれる。しかしあまりに疲れて、ひどい知らせばかり聞かされると、ユーモアがもはやきかなくなる〜、わたしはもう、ろくなジョークが考えられないようになってしまったのかもしれない、つまりジョークが防衛手段として働かなくなってしまったのだ。
面白いことの言える人もいれば、言えない人もいる。わたしはおもしろいことの言える人間だったのに、もう言えなくなってしまった。おそらくショックを受けることや失望させられることが多すぎたせいで、ユーモアという防衛手段が効かなくなってしまったのだ。そしてかなり気むずかしくなった。腹立たしいことがあまりに多くて、笑いでは対応できなくなってしまったからだ。」